「来期の目標は社長の頭の中にあるが、社員には伝わっていない」「経営計画書を作ったことはあるが、作った後は一度も開いていない」「銀行や補助金の申請で事業計画を求められるたびに、慌てて作っている」——年末が近づき、来期の方針を考え始めるこの時期、こうした悩みを持つ経営者は少なくありません。本記事では「中小企業 経営計画書 作り方」「経営計画 立て方 来期」「経営計画書 融資 補助金」で調べている方に向けて、少人数の会社でも作れて、毎月使える経営計画書の作り方を整理します。
・経営計画書は「どこを目指し、そのために誰が何をするか」を社内外に示す道具。立派な冊子より、1枚でも毎月見返せる計画のほうが役に立つ
・作り方は①現状把握 → ②方針・ビジョン → ③数値目標(利益計画)→ ④行動計画 → ⑤月次で見直す仕組みの5ステップ
・数値目標は売上から積み上げるのではなく、必要な利益から粗利・売上を逆算すると現実的になる
・同じ計画を土台にすれば、金融機関への説明や補助金の事業計画書にも転用しやすい
・来期の開始に間に合わせるなら、決算の2〜3か月前から準備を始めるのが目安。秋は来期計画づくりに適したタイミング
1. なぜ中小企業にこそ経営計画書が必要なのか
経営計画書は大企業だけのものと思われがちですが、人も資金も限られる中小企業ほど、計画の有無が成果に表れやすくなります。経営計画書がない会社では、次のような状態が起きやすくなります。
- 社長と社員の目標がずれる:社長が考える来期の重点と、現場が頑張っていることが一致せず、努力が成果につながりにくくなります。
- 数字の「良い・悪い」を判断できない:目標がないと、月次の数字を見ても順調なのか遅れているのかが分からず、手を打つのが遅れます。
- 外部への説明に時間がかかる:融資の相談や補助金の申請のたびに、会社の方向性や数字を一から整理し直すことになります。
逆に言えば、経営計画書は社内の目線合わせ・数字の判断基準・社外への説明資料という3つの役割を一度に果たせる道具です。
2. 経営計画書の作り方 5ステップ
課題の把握
利益計画
何をするか
- ステップ1:現状を数字と言葉で把握する:直近2〜3期の決算書と今期の月次の数字から、売上・粗利・固定費・利益の推移を確認します。あわせて「自社の強み」「伸びている商品や顧客」「足を引っ張っている要因」を書き出します。
- ステップ2:方針とビジョンを決める:「3年後にどんな会社になっていたいか」を言葉にし、そのために来期何に力を入れるのかを2〜3つの重点方針に絞ります。方針が多すぎると、現場はどれも中途半端になりがちです。
- ステップ3:数値目標(利益計画)を立てる:来期に必要な利益を決め、そこから必要な粗利と売上を逆算します。具体的な考え方は次の章で説明します。
- ステップ4:行動計画に落とし込む:重点方針ごとに「誰が・いつまでに・何をするか」を決めます。営業部門なら商談数や提案数、製造部門なら生産性や不良率など、日々の行動で追える指標につなげます。
- ステップ5:月次で見直す仕組みを作る:計画と実績を毎月比べる会議の場と、担当者を決めておきます。この仕組みがないと、計画書は作った時点で役目を終えてしまいます。
3. 利益計画は「必要な利益」から逆算する
売上目標を「前年比110%」のように決めると、なぜその数字なのかを社員に説明しにくく、達成しても利益が残らないことがあります。中小企業におすすめなのは、利益から逆算する考え方です。
- 必要な利益を決める:借入金の返済、来期に予定している設備やIT・AIへの投資、賃上げの原資などを踏まえ、最低限確保したい利益を決めます。
- 固定費を見積もる:人件費・家賃・リース料などの固定費を、来期の採用や賃上げの予定も含めて見積もります。
- 必要な粗利と売上を逆算する:「必要な利益+固定費=必要な粗利」、さらに粗利率で割り戻すと必要な売上の目安が出ます。
- 月別・部門別に分ける:年間の数字を月ごと・部門ごとに分けると、毎月の進み具合を確認できるようになります。
逆算した売上が現実離れしている場合は、値上げ・粗利率の改善・固定費の見直しなど、売上以外の打ち手も含めて調整します。月ごとに計画と実績を比べる方法は中小企業の予実管理の始め方で詳しく解説しています。
4. 融資・補助金にも使える経営計画書の書き方
経営計画書は社内向けの道具であると同時に、金融機関や補助金の審査で「この会社は何を目指し、どう実現するのか」を伝える資料の土台にもなります。社外に見せることを意識すると、次の点が大切です。
- 数字の根拠を示す:売上目標の内訳(既存顧客・新規顧客・新商品など)や、粗利率・固定費の前提を書いておくと、計画の実現性が伝わりやすくなります。
- 課題と打ち手をつなげる:「人手不足で受注を取りこぼしている → 業務の自動化で処理能力を上げる」のように、現状の課題と投資・取り組みの関係を一本の筋で説明します。
- 資金の流れを示す:投資の時期と金額、その資金をどう用意し、どう回収するかを示します。資金繰り表で投資前後の資金の動きを確認しておくと、説明に説得力が増します。
なお、補助金や制度融資の中には、認定経営革新等支援機関の確認や関与を求めるものがあります。認定支援機関の役割や選び方は認定経営革新等支援機関とは?で整理しています。制度ごとの要件や様式は変わることがあるため、最新は各制度の公式情報でご確認ください。
5. 経営計画が「作って終わり」になる原因と対策
- 社長が一人で作っている:幹部や現場の意見を聞かずに作った計画は、現場から「自分ごと」として受け止められにくくなります。少なくとも行動計画は、実行する人と一緒に決めましょう。
- 分厚すぎて読まれない:最初は方針・数値目標・重点施策がまとまった1〜数枚の計画で十分です。運用しながら必要な項目を足していきます。
- 見直しの場がない:月次の会議で計画と実績を比べ、ずれの原因と次の打ち手を決める場を必ず設けます。
- 社員に伝えていない:期初に経営計画の発表の場をつくり、社長自身の言葉で「なぜこの目標なのか」を伝えることが、社員の納得感と行動を左右します。
6. 来期に向けたスケジュールの目安
来期の開始に間に合わせるには、決算の2〜3か月前から準備を始めるのが目安です。たとえば12月決算の会社であれば、10月の今が動き出すタイミングです。
- 決算の3か月前:今期の着地見込みを確認し、現状の整理と来期の方針を考え始める
- 決算の2か月前:利益計画の数字を固め、幹部と重点施策・行動計画をすり合わせる
- 決算月〜期初:経営計画書を仕上げ、社員への発表と月次の会議の準備を整える
3月決算の会社でも、秋のうちに方針の骨格を考えておくと、補助金の公募や金融機関との面談に計画を早めに活かせます。
7. TRUSTEP JAPANの経営計画づくりの支援
TRUSTEP JAPANでは、顧問・社外取締役コンサルティングとして、経営者の右腕・社外幹部の立場で会議体・数値管理・実行支援までを月次で伴走しています。計画を作るだけでなく、毎月の会議で計画と実績を一緒に追いかけるところまでご支援します。
資金繰りに不安がある場合は、認定支援機関として早期経営改善計画 策定支援も行っています。導入事例では、医療法人のお客様の収益構造を可視化し、診療報酬の最適化と業務効率化を同時に進めた結果、営業利益率2倍・借入条件の改善につながりました。補助金活用支援(1,000社超の支援実績)や営業改革、AI活用とあわせて、経営計画から実行まで一気通貫でご相談いただけます。
8. まとめ——経営計画書は「毎月使う」前提で小さく作る
中小企業の経営計画書は、現状を把握し、方針を絞り、必要な利益から数字を逆算し、行動計画と月次の見直しにつなげることで機能します。最初から完璧な冊子を目指す必要はありません。1枚の計画でも、毎月見返して打ち手を決めるほうが、会社の数字は確実に変わっていきます。
「来期の目標をどう決めればよいかわからない」「計画を作っても続かない」という段階からでも構いません。お気軽に無料相談をご利用ください。なお、本記事で紹介した準備期間や枚数は一般的な目安であり、適切な計画の形は業種・規模・資金状況によって異なります。融資・補助金などの制度の最新情報は、各制度の公式情報でご確認ください。
